《Paw Pottery Patrol》ーYang Jie

以前の作品では、土の中にひっそりと存在する動物たちを想像してきました。

まだ名前もなく、姿も定かでないまま、気配だけがそこに漂っている——そんな存在たちが、今回は器のかたちをまとい、そっと姿を現しました。

帽子をかぶって得意げな犬。空を見上げる犬。列をなして静かに進む犬たち。

彼らはまるでどこかの「わんこパトロール隊」のように、一匹ずつ動き出し、それぞれの役割と居場所を持ちはじめています。

器という「うつわ」は、何かを包み、受け入れる存在であると同時に、時に命や記憶の輪郭を浮かび上がらせる媒体でもあります。

その土のかたちの中に、作家が心の奥で出会った「いきものたち」がそっと住みついているようにも見えるでしょう。

この展覧会では、想像の中で生まれた犬たちが、土と釉薬をまとって器としてかたちになった「小さな世界」を静かに、けれどたしかに息づかせながら迎えてくれます。

どうぞ会場で、わんこたちのパトロールの足跡をたどりながら、その世界にふれてみてください。